JLPT N1 – Reading Exercise 125

#352

実在じつざいする人間にんげん個性こせいをはっきりつかんだかおが、いわゆる似顔にがおである。 似顔にがおのコツとは、その相手あいてのいちばんおおきな特徴とくちょうをつかんだらちである。おとこではめがねとかひげ、おんなではかおのりんかくとくちもとをいただけで、もうそのひとだとわかることもあるくらいだ。 政治家せいじかでいえば、(吉田よしだ首相しゅしょうはめがねとくち、(きし首相しゅしょうくちもと、(佐藤さとう首相しゅしょうはまゆ、そして(田中たなか首相しゅしょうはひげが、最大さいだい特徴とくちょうであった。 一般いっぱんに、アクのつよかおは「___1___」。わるくいえば、かおがくずれているからだ。こういうかおは、チラッとただけで、印象いんしょうふかあたまなかのこるから、特徴とくちょうをつかまえやすい。さようそう相手あいてかおはチラッとるにかぎるのだ。かお全部ぜんぶを、あなのあくほど、ジーッとていると、だんだんかんじんの特徴とくちょうはわからなくなってしまう。 ことに写真しゃしんをもとに似顔にがおこうとすると、その写真しゃしんそのものが、本人ほんにんていなかったりすることもあるのだから、あまり、直感的ちょっかんてきつよ特徴とくちょうがつかめないことがある。 それほどかお特徴とくちょうというものがないひとがいる。こういうひと似顔にがおはたいへんむずかしそうだが、特徴とくちょうのないかおというてんが、特徴とくちょうといえば特徴とくちょうといえよう。 ぼくは、こういう相手あいて似顔にがおくときは、そばのさんにんべつ人物じんぶつ似顔にがおもいっしょにいてみることにしている。 すると、そのさんにんかおなかにまじった「2」本人ほんにんかおが、なんとはなしに、やっぱりほかとはちがった個性こせいがあるなとわかってくるものだ。 (手塚てづか治虫おさむ『マンガのかた光文社こうぶんしゃによる) りんかく:もの外側そとがわかたちづくるせん アクのつよい:ひとによってはれにくいつよ個性こせいっているようす さようそう:そう、そのとおり

Vocabulary (60)
Try It Out!
1
「___1___」に入れるのに適当なことばはどれか。
1. かんたんに似顔になる
2. 特徴がつかまえにくい
3. めがねやひげが必要だ
4. 注意深く見る必要がある
2
「2」本人の顔とあるが、何を指しているか。
1. 個性的でアクの強い人の顔
2. 写真と実物が似ていない人の顔
3. 似顔を描いているときの筆者の顔
4. 顔の特徴があまりないような入の顔
3
筆者は似顔の描き方について、どのような考えを持っているか。
1. 写真を見ながら似顔を描くのはまちがったやり方だ。
2. いかに相手の顔の特徴をとらえるかがかんじんである。
3. どんな人でもよく観察して顔の特徴をつかむのがよい。
4. 初めて描くときは二、三人の似顔を同時に描くとよい。