「どうすれば、将棋が強くなれますか?」とは、もっともよく聞かれる質問である。 実は、この質問には肝心な言葉が隠されている。それは「努力しないで」という言葉である。つまり「どうすれば努力しないで将棋が強くなれますか」と聞きたいのだ。小さいな子どもが上手に将棋を指せば、大人は「この子の才能をまっすぐに伸ばしたい」と思うものだ。しかし、才能という言葉は、あるレベルまでいってからことで、それまでは継続的な努力によってのみ上達や向上がある。子どもにはまず、継続的な努力を可能にする集中力を養うことが大切なのだ。 幼児や小学生の頃の子どもは、好奇心が旺盛で、どんなものでも好きになれば夢中になる。しかし、移り気でもある。飽きてしまうと、親がいくら熱心になって旗を振ろうが、太鼓を鳴らそうが、そっぽを向いてしまう。集中力を欠いている状態で無理強いしても、柔らかい頭脳には何も染み込んではいかないだろう。 (谷川 浩司「集中力」による)