いままで、盛んに「学力」という言葉を使ってきたが、「学力」とは何であろうか。私たちが身近に使っている「学力」という言葉は、驚くなかれ、外国語に翻訳できないのである。それは、学習してどこまで到達したかという、学んだ成果を示す「学力」のほかに、学ぶ力という意味での「学力」があり、この両者が一体となって、わが国では「学力」という言葉をかたちづくってきたからである。したがって、ひとくちに「学力低下」というときに、どちらの学力が低下しているのかをきちんとしておかないとしておかないと、誤解が生じることになる。大学関係者の多くが指摘する「学力低下」は、単なる知識の量が足りないという学んだ成果を示す「学力」の低下ではない。どうして学んだらよいか分からない、マニュアル通りにしかできない、という学ぶ力としての「学力」の大幅な低下を問題として、現状を憂えているのである。