JLPT N2 – Reading Exercise 93

#226

日本人にほんじんに、日本語にほんごはなせばわかる、つうじるとおもうも、もしかしたら幻想げんそうかもしれない。 たとえば、「なさけはひとのためならず」ということわざ意味いみ。つねづねひとなさけをかけ、親切しんせつにしていれば、自分じぶんのためでもあるんだよというのがいままでの解釈かいしゃくだった。しかしこのごろちがうのだそうだ。 あんまりなさけをかけると、それをてにしてなまものになってしまう、だからなさけはかけるな、ということなのだそうだ。 この解釈かいしゃくがあながち間違まちがっているとはえないのが、時代性じだいせいというものだ。現代げんだいべるにこまるというようなひとがいなくなってしまった。どうしてもたすけなければならないようなひとがいない。るとすればおおくはそのひと自身じしん問題もんだいなまけてはたらかなかったり、えらこのみをしていて仕事しごとをしていなかったり。そんなひとなさけをかけたらたしかにあまえるだけかもしれない。 言葉ことば意味いみ時代じだい反映はんえいする。 (おきななも「言葉ことば時代性じだいせい」『出版しゅっぱんダイジェスト』2001年にせんいちねん11月じゅういちがつ20日はつかごうによる) なさけをかける:相手あいてのためをおもってたすける てにする:期待きたいする あながち~ない:かならずしも~ない

Vocabulary (22)
Try It Out!
1
情けは人のためならず」という諺の、現在の解釈に合っているのはどれか。
1. 自分が困っているときは人に甘えた方がいい。人はみんな問題があり、助け合っていきているのだから
2. 困っている人を見たら助けてあげよう。自分が困ったときに誰かが助けてくれるかもしれないから
3. 困っている人を見ても助けない方がいい。その人が他人に頼って怠けるようになると困るから
4. 困っている人を見たら助けてあげよう。その人が後で必ず自分に親切にしてくれるから
2
情けは人のためならず」という諺の解釈が変わったのはなぜか。
1. 怠けて働かない人が少なくなったから
2. 昔より人を助ける親切な人がふえたから
3. 日本人でも日本語が通じない人がふえたから
4. 昔のように助けを必要とする人はいなくなったから
3
筆者の言いたいことはどれか。
1. 言葉の解釈は時代とともにかわるようだ。
2. 言葉の解釈はもともと使う人によって違うものだ。
3. 古い時代のことばの意味が現代に正しく伝えられないのは残念だ。
4. 現代は人々が豊かになって、情けの意味がわからなくなっている。