JLPT N2 – Reading Exercise 87

#220

以前いぜん高校こうこうおしたちとはなしていて「1」ふとづいたことがある。疑問ぎもんかんじることのはばひろさ、疑問ぎもんおおきさのちがいだ。「どうして?」「なぜ?」といういは、人間にんげんにとって、だれもがわせるごくたりまえこころのはたらきだとおもってい た。しかし実際じっさいには、そのひろがり、対象たいしょう範囲はんいひとによってまったくことなるのだ。 (中略ちゅうりゃく疑問ぎもんとは、「興味きょうみあらわれ」にほかならない。なにごとにも無関心むかんしん生徒せいとは、会話かいわもじつに淡白たんぱくである。他者たしゃとのコミュニケーションにも興味きょうみがない。興味きょうみがないから、疑問ぎもんきてこない。 わたしはというと、物心ものごころついたときから好奇心こうきしん旺盛おうせいどもであった。「このおもちゃの内部ないぶはどうなっているんだろう?」そうおもってばらばらに分解ぶんかいしては、もともどせなくていていたものである。 自分じぶん社会しゃかいきるあらゆること、たとえば学校がっこう授業じゅぎょう先生せんせいおしえたり、指導しどうする内容ないようにだって「なんで?」とおもっていいのだ。会社かいしゃ上司じょうし指示しじにも「なんで?」とおもっていい。おやしつけにも「なんで?」とおもっていい。問題もんだいは、「なんで?」だけで思考しこうわってしまうことだ。「2」それではダメだ。というのは、「なんで?」だけでわってしまうと、そのあとに「反抗はんこう」「反感はんかん」の感情かんじょうこころ渦巻うずまいてしまうだけだからである。「なんで?」にはじまり、そこから「どうしてそうなるの?」「本当ほんとうにそうなの?」と、自分じぶんなりにかんがえをきわめていく作業さぎょう大切たいせつであり、そこに成長せいちょうかぎがある。 (山本やまもとひろし持続力じぞくりょく』による) 物心ものごころついたとき:なかのことがなにとなくかってきたとき 感情かんじょうこころ渦巻うずまく:ここでは、感情かんじょうこころみだれる かんがえをきわめる:ここでは、徹底的てっていてきかんがえる

Vocabulary (61)
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1
「1」ふと気づいたこととは、どんなことか。
1. どんなことにも疑問を持たない高校生が増えている
2. 高校生の疑問の範囲が狭くなっている。
3. 疑問の対象は世代によって異なる
4. 疑問の範囲は人によって異なる
2
「2」それではダメだとあるが、なぜか。
1. 反発する気持ちを表現しなくなるから
2. 反発する気持ちが生まれるだけだから
3. 疑問が大きくなってしまうだけだから
4. 疑問を持たなくなってしまうから
3
この文章で筆者が最も言いたいことは何か。
1. 疑問に感じたことを深く考えることが成長につながる。
2. あらゆることに疑問を持つことが考えを広げる。
3. 疑問を探し続けることが成長の鍵である。
4. 疑問を持つことは「興味の現れ」である。