JLPT N2 – Reading Exercise 41

#174

日本にほんではよく、「若者わかものはもっと個性こせい発揮はっきすべきだ」とか、「個性こせいみがくべきだ」などとわれます。けれどわたしは、そういう言葉ことばにはあまり意味いみがないとおもっています。 また、日本にほんでは「個性こせい」という言葉ことばおもひと外観がいかんかんして使つかわれることにも、わたし違和感いわかんっています。たとえば、「個性的こせいてきなファッション、個性的こせいてきなヘアスタイル」は、「ひとがアッとおどろくような奇抜きばつなスタイル」であることがおおいでしょう。 (中略ちゅうりゃく) このようにかんがえると、「個性こせいひとより目立めだつこと」と、おおくのひと錯覚さっかくしているのではないかとおもいます。 でも、根本的こんぽんてきなことをってしまえば、このまれた人間にんげん一人ひとりのこらず全員ぜんいん、それぞれの個性こせいっています。だから、だれかに「みがきなさい」と命令めいれいされて、義務ぎむのようにみが必要ひつようなどないのです。 あなたがまれった個性こせいは、あきらかにあなた{だけ}のものです。世界中せかいじゅうに、あなたとおな個性こせいひとなど誰一人だれひとりとしていないのですから、「ほかひとはどうかな?」とキョロキョロすることは不必要ふひつようだし、他人たにん真似まねをする必要ひつようもありません。真似まねしようとしても真似まねできないのが、個性こせいというものなのです。 あなた自身じしんが「たのしい、面白おもしろい、不思議ふしぎだ、ワクワクする、ドキドキする」とかんじ、こころからもとめているものを優先ゆうせんすれば、それでいいのです。「みがく」とか「発揮はっきする」などと意識いしきしなくても、自分じぶん本当ほんとうきなもの、興味きょうみがあることに気持きもちがかっていけば、自分じぶん世界せかいがどんどんひろがっていく。それが本当ほんとう意味いみで「個性こせいみがく」 ということです。 (今北いまきた純一じゅんいち自分力じぶんりょくたかめる』による)

Vocabulary (19)
Try It Out!
1
日本人が使う「個性」という言葉について、筆者はどのように述べているか。
1. 本来の意味とは違う使い方がされている。
2. 意味がないと思っている人が多い。
3. 主に若者に対して使われている。
4. 人によって使い方がさまざまだ。
2
個性について、筆者の考えに合うものはどれか。
1. 他人には理解できないものである。
2. 人より目立つことで発揮できるものである。
3. 人間なら誰でも持っているものである。
4. ファッションを通して主張できるものである。
3
筆者によると、本当の意味で「個性を磨く」とはどのようなことか。
1. 自分の心に従って、関心があることを追い求めること
2. 自分が好きかどうかより、個性的に見られるかどうかを優先すること
3. 周囲の意見を参考に、無理なく自分の世界を広げること
4. どんな物事にも、楽しさや面白さを見つける努力をすること