JLPT N2 – Reading Exercise 32

#165

数学すうがくかんして、ぜひともっておきたいことがあります。 数学すうがくきらいなひとおお理由りゆうひとつは、数学すうがくはできるかできないかがはっきりしているためです。できないと、どうしてもきらいになるのです。そこで、ぼくがどうやって数学すうがく勉強べんきょうしてきたか、「1」 それについてはなしをします。 ぼくは14さいのとき、夏休なつやすみにずっとおや別荘べっそうにいて、昼間ひるまずっと数学すうがく問題もんだいいていました。数学すうがく分厚ぶあつ問題集もんだいしゅうなか問題もんだいく。これはけっして日本人にほんじんができないことではありません。ただし、日本人にほんじんおおくの学生がくせいは、問題もんだいをちょっとだけかんがえて、すぐできればいいけれども、できなかったらすぐに解答かいとうの{ページ}をめくって「ああ、なるほど」と納得なっとくして、つぎ問題もんだいうつるのです。「2」これではダメです。中略ちゅうりゃく)それではあたまなかのこりません。自分じぶんにとっては、どちらかというと失敗しっぱい体験たいけんなのです。問題もんだいけなかった。解答かいとうてわかったけれども、自分じぶんではかなかったのです。 ぼくはそうではありませんでした。ぼくは「問題もんだい自分じぶんちからくべきだ」とかんがえて、それを断固だんこ実行じっこうしたのです。5ふんや10ふんでできた問題もんだいもあれば、30ふんも1時間じかんもかかった問題もんだいもよくありました。1時間じかんでもできない問題もんだい場合ばあいには、ぼくは{ベッド}のしたしにはいりました。よこになってふたをろすと、まったく暗闇くらやみなかです。その身動みうごきができない状態じょうたい数学すうがく問題もんだいかんがえたのです。ぼくは、「問題もんだいけないかぎり、ここからない」と決心けっしんしました。あたまなかでは数学すうがく問題もんだいをずっとかんがえて、そして結局けっきょくけたのです。さもなければ、いまごろは{ミイラ}になっているでしょう。「3」そんな悠長ゆうちょうなことはしていられない。自分じぶんひとつの問題もんだいを5時間じかんかんがえているうちに、そとひとは20もんこたえがわかってしまう。それでいいのだろうか、と思うひとがいるでしょう。でも、ちがうのです。 「問題もんだい自分じぶんちからだけでいてしまうことができた。やった!」と、おおきなよろこびをかんじられます。そして、数学すうがくにもっと興味きょうみがわいてくるのです。「数学すうがくはおもしろいな、たのしいな」とおもえるのです。簡単かんたん問題もんだいでもいい。それを自分じぶんちからくことによって、興味きょうみ次々つぎつぎにわいてくるものです。それはポジティブな記憶きおくになります。ポジティブな記憶きおくは、あたまなかのこるのです。 ぎゃくに、解答かいとうて20もんがわかったとしても、「結局けっきょくできなかった」とむなしさがのこるだけなのです。この記憶きおくはネガティブな記憶きおくですから、のうわすれてしまうのです。 このように、ポジティブな記憶きおくのこしていくこと。そのために、いろいろな方法ほうほう自分じぶんなりにかんがえてください。そして実行じっこうしてみて、自分じぶんわないとわかれば、べつ方法ほうほうさがせばいいのです。ぼくのとった方法ほうほうも、ぜひ参考さんこうにしてみてください。 (ピーター・フランクル『ピーターりゅうらくらく学習術がくしゅうじゅつ』による)

Vocabulary (15)
Try It Out!
1
筆者は、数学が嫌いな人が多いのはなぜだと言っているか。
1. できるまでに長い時間がかかるから
2. できてもできなくてもかまわないから
3. できるかできないかのどちら化だから
4. できるかできないかがよくわからないから
2
「1」それとはどのようなことか。
1. 夏休みに昼間ずっと親の別荘にいること
2. 数学の問題集にある問題を解いていくこと
3. 数学の問題をちょっと考えてすぐ解いてしまうこと
4. 親と一緒に数学の分厚い問題集のなかの問題を解くこと
3
「2」これではダメですとあるが、どうしてダメですか。
1. 問題が多すぎて頭の中に残らないから
2. 解答を見ても納得できず、解かなかったから
3. 問題が解けなかったという失敗の体験になるから
4. 解答をみて解き方が失敗だということがわかったから
4
「3」そんな悠長なこととはどんなことか。
1. 5分や10分でできる問題をたくさん解くこと
2. 問題が解けるまでずっと何時間も考えつづけること
3. ベッドの引き出しの中で身動きもせず横たわっていること
4. 解答のページをめくって、わからない問題の答えを調べること
5
記憶について、筆者が述べていることと合っているものはどれか。
1. ネガティブな記憶は、頭の中に長くとどまらない。
2. ポジティブな記憶は、ネガティブな記憶ほど残らない。
3. ネガティブな記憶は、いやな体験として長く記憶される。
4. ポジティブな記憶は、長い時間をかけて初めて得られる。
6
この文章で筆者が言いたいとはどれか。
1. 数学は、時間がかかっても数多く問題を解くことにより、興味がわいてくる。
2. 数学は、簡単な問題から解き始めることにより、楽しくなり興味がわいてくる。
3. 数学は、時間がかかっても自分の力で問題を解くことにより、興味がわいてくる。
4. 数学は、解答を見て解き方を納得することにより、理解が深まり興味がわいてくる。