JLPT N2 – Reading Exercise 31

#164

美術館びじゅつかんみな展示てんじしてあるものに正解せいかいは一つもない。その作品さくひんをどうるかはまったくの自由じゆうだ。 もちろん、その作品さくひん制作せいさくしたアーティストの意図いと存在そんざいする。しかし、それはけっしてただ一つの正解せいかいではない。作者さくしゃかんがえていなかったような見方みかたや、かたができることが芸術作品げいじゅつさくひん魅力みりょくなのだ。すぐれた作品さくひん作者さくしゃ意図いと軽々かるがるえて、観客かんきゃくこころのなかで多様たようづきをしていく。多様たよう解釈かいしゃくができることは、すぐれた美術作品びじゅつさくひん条件じょうけんだとってもいい。 しかし、日本人にほんじんは、この「こたえがない」ことが苦手にがてなのだ。「美術びじゅつむずかしい」「はわからない」というこえをよくくのは、多くの日本人にほんじん美術びじゅつ見方みかたに「正解せいかい」があるとおもているからである。欧米おうべいではこうしたこえかれない。「美術びじゅつきじゃない」「には興味きょうみがない」というひとはいる。しかし、「わからない」ものだとおもっているひとはあまりいないのではないかとおもう。 ただし、「わらない」と当惑とうわく気味ぎみにつぶやくのは大人おとなたちだけだ。子供こどもはそんなことはわない。 美術館びじゅつかん子供こどもたちは、それぞれのやりかた作品さくひんめる。(中略ちゅうりゃく面白おもしろいとおもえばハマる。おもわなければわすれてしまう。子供こどもたちと美術びじゅつ最初さいしょ出会であいはそれでいいのだとおもう。

Vocabulary (37)
Try It Out!
1
筆者は、どのような芸術作品が優れていると述べているか。
1. 観る人が自由に解釈できる作品
2. 観る人が共通の解釈を持てる作品
3. 作者の意図が観る人の解釈を超える作品
4. 作者の意図が明確で素直に解釈できる作品
2
筆者によると、日本人の大人が美術を難しいと感じるのはなぜか。
1. 決まった見方があるのに自由に観ようとするから
2. 見方に正しい答えがあるはずだと思っているから
3. 誰も正しい見方を教えてくれないから
4. 見方がいろいろあって選べないから
3
子供と美術の出会いについて、筆者はどのように考えているか。
1. 絵がわからなくても大丈夫だ。
2. 絵がわかったという実感が大切だ。
3. 優れた作品に多く触れたほうがいい。
4. 興味を持ったものを観ればいい。