JLPT N2 – Reading Exercise 10

#143

みなさんは寄付きふをしたことがあるだろうか。異常気象いじょうきしょうべるもの不足ふそくしてこまっているひとや、地震じしんいえうしなったひとのためにわずかながらもお小遣こづかいから寄付きふした経験けいけんひとおおいだろう。その寄付きふたいするかんがかたに、いまあたらしいうごきがこっている。 ある会社かいしゃでは、社員食堂しゃいんしょくどうていカロリーの定食ていしょくべる代金だいきん一部いちぶ寄付金きふきんとなって途上国とじょうこく(注)の子供こどもたちの食生活しょくせいかつ支援しえんする、というシステムをれている。社員しゃいんとしては体調管理たいちょうかんりにつながるだけでなく、ひとたすけることができ、会社かいしゃとしては社員しゃいん健康けんこうささえながら社会貢献しゃかいこうけんができるので、社員しゃいんにとっても会社かいしゃにとっても一石二鳥いっせきにちょうというわけだ。 また、「寄付きふつき」の商品しょうひん販売はんばいする企業きぎょうえている。特定とくてい商品しょうひんうとげの一部いちぶ寄付きふされるというもので、ほか商品しょうひんくらべるとやや値段ねだんたかいが、商品しょうひんえば、同時どうじ寄付きふできるという手軽てがるさが消費者しょうひしゃ歓迎かんげいされ、げをばしているという。 これまでの寄付きふはわざわざ募金ぼきん場所ばしょあしはこんだり、銀行ぎんこうからおかねんだりしなければならないものがおおく、社会貢献しゃかいこうけん関心かんしんはあっても寄付きふをするのは面倒めんどうだと実際じっさい行動こうどうにはうつさないひとすくなくなかった。そこにをつけたのがあたらしい寄付きふかたちで、これまでとくら手軽てがる寄付きふできるようになり、社会貢献しゃかいこうけんがしやすくなった。さらに、企業きぎょうにとっても自社じしゃの{イメージ}の向上こうじょうげの増加ぞうかなどメリットのおおみとなっている。 このように寄付きふ慈善じぜんのためというばかりでなく、寄付きふをするがわにもプラスになる活動かつどうとしてとらえなおされはじめている。 (注)途上国とじょうこく経済成長けいざいせいちょう途中とちゅうにあるくに

Vocabulary (23)
Try It Out!
1
社員食堂で低カロリーの定食を食べることがどんな良い結果につながるのか。
1. 社員の健康が守られ、社会の役に立つことにもなる。
2. 社員に定食代の一部が返金され、寄付をする余裕ができる。
3. 会社で寄付が日常のことになり、食生活に対する意識も高まる。
4. 会社は社会の役に立つことができ、食堂の経費の節約にもなる。
2
この文章では、これまでの寄付にはどのような問題があったと述べているか。
1. 寄付をする方法があまり知られていない。
2. 寄付をすることが社会的に評価されにくい。
3. 寄付をするのに手間がかかるシステムである。
4. 寄付をするためには経済的に余裕がなければならない。
3
この文章における新しい寄付とはどういうものか。
1. 企業が社員や消費者の意思にかかわりなく積極的に行うもの
2. 企業が慈善(じぜん)事業のためではなく利益(りえき)を上げるために行うもの
3. 社員や消費者が手軽に寄付ができて企業側にも利点があるもの
4. 社員や消費者が気がつかないうちに社会貢献に参加できるもの