JLPT N1 – Reading Exercise 25

#252

技術者ぎじゅつしゃにとってレースしゃ開発かいはつするというのは、非常ひじょう魅力みりょくがあるようなのだ。 それはそうだろう。市販車しはんしゃ開発かいはつであれば、コストのことや工場こうじょうのことをかんがえなければいけないので、自分じぶんかんがした創意工夫そういくふうかならずしも反映はんえいできるわけではない。いいモデルをしたからといって、営業えいぎょうちからよわければれるとはかぎらない(すくなくとも、おおくの開発技術者かいはつぎじゅつしゃはそうおもって歯軋はぎしりをしているにちがいない)。しかし、レースしゃであれば、ある程度ていど採算無視さいさんむしいろんなことにトライできる。なによりも、営業力えいぎょうりょくとかほか要素ようそ邪魔じゃまされることなく、「いちどんなだいメーカーを相手あいてにも対等たいとう優劣ゆうれつあらそうことができるわけだぎゃくにいうと、わけのない世界せかいでもある。てきよりコンマいちびょうでもおくれをとればけるのだ。そして、それは、はっきりとそのえる。(中略ちゅうりゃく目標設定もくひょうせってい単純たんじゅんだ。市販車しはんしゃ開発かいはつなら、ときにはアメリカと欧州おうしゅう両市場りょうしじょうれるくるまつくってくれと営業えいぎょうから要求ようきゅうされたりする。そこでは技術的ぎじゅつてき妥協だきょうせざるをないが、レースは絶対的ぜったいてきはやさだけを目指めざせばいいのだ。そのわり、自分じぶん実力じつりょくいまどうであれ、てきくるま75ななじゅうごびょうでサーキツトをいちしゅうしていれば、それよりはや夕イムタイムはしくるまをつくらないと意味いみがないのだ。「出来できる、出来できないろんじる余地よちまったくない。また、おかりのように、チームのくるま真似まねだけをしていれば、けっして「最速さいそく」にはならないのも真実しんじつなのだ。 (田中たなか詔一しょういち『ホンダの価値観かちかん一原点いちげんてんからまもつづけるゼロ尺八しゃくはち』による)

Vocabulary (10)
Try It Out!
1
「1」どんな大メーカーを相手にも対等に優劣を争うことができるとあるが、なぜか。
1. 創意工夫する力さえあれば売れる車がつくれるから
2. 性能さえよければ採算のとれるレース車がつくれるから
3. 営業力に邪魔されずに価格で勝負できる車がつくれるから
4. コストなどの要素に影響されずにレースで競える車がつくれるから
2
「2」出来る、出来ないとあるが、何が出来る、出来ないのか。
1. 自社の最高タイムを次のレースで上回ること
2. 技術的に妥協するしかない場合には妥協すること
3. ライバル社より少しでも速く走れる車をつくること
4. アメリ力や欧州のレースでいい成績をおさめること
3
この文章によると、レース車の開発は、技術者にとってなぜ魅力的なのか。
1. 高い技術力が示せれば世界で認められるから
2. 自社が持っている技術力の高さを証明できるから
3. 明確な目標に向かって開発だけに集中できるから
4. 開発者としての実力が大メーカーからも評価されるから