幸福は人生の目標である。それだけに一体どういうものが「幸福」なのか知るのは、それを追求する前提として深刻な課題であると思う。あるとき、若い人が、私に向かって「幸福というのはあるのか」と深刻そうな顔をして聞いたことがある。
彼は人間の欲望というのは無限に続くものであるから、幸福感まではなかなか到達しないのではないかというのだ。なるほどそういえるかもしれない。人間が進歩する動物であるならばなおさらのことだ。
でも、私は幸福は存在すると思っている。趣味に例をとっても、ある人は野球することをあげ、他の人達は読書や映画、音楽とそれぞれに主張する。登山や魚釣りという人もいるだろう。このように趣味は人によってさまざまだが、同様に幸福についても人によっては考え方がまちまちだと思う。
「幸福とはどのようなもの?」と聞かれたら「裕福になること」と答える人もいるのだろう。また、「社会的な地位に到達する」のを幸福だと考えているかもしれない。逆にそのような裕福とか社会的地位を否定して、「心の豊かな人」になることが幸福だと思っている人もいると思う。思考や感情、さらには生活様式さえ異なる人間のことだ。幸福についての考え方に、差があってもいいのではないか。ただ同じく裕福を主張しても、多くの人の幸福を願って慈善事業に協力する人もいれば、一方には「がめつい奴」の看板を背負って生きてるような人もいる。他人になんといわれようと、その人はそれで結構幸福なのだ。人間は自分のために生きるのだから、他人に迷惑さえかけなければこれでもいいのである。
しかし、私はスタートの段階ではそれでもいいが、いつまでもそのままの考えから進歩しないのでは困ると思う。私自身としては、別な生き方をとる。
幸福というものについて、これだといい切れる考えはまだ私も持っていないが、私は「会社での仕事も楽しく、家庭での生活も楽しい、つまり一日二十四時間を楽しく過ごすこと」が幸福だと思っている。言葉はすこぶる平凡だが、この内容は非凡だと自負している。それと、自分の幸福な状態が「他人の目にも楽しく、心も楽しませる」ものでありたいとも私は思う。
(本田宗一郎『得手に帆あげて』による)
なおさらのことだ:ここでは、ますますそうだといえる
まちまちだ:それぞれ違っている
「がめつい奴」の看板を背負って生きてるような人:けちで欲張りな人
すこぶる:非常に
若い人が「幸福というのはあるのか」と聞いたのはなぜか。
1.
今まで何をしても幸福感に到達することができなかったから
2.
幸福についての考えにはいろいろあり、何が幸福かわからなくなったから
3.
人間の欲はなくならないので、いつまでも幸福感が得られないと考えたから
4.
人間の欲はそれぞれ異なるので、幸福についての考え方も異なると考えたから
Tại sao người trẻ hỏi "Có tồn tại hạnh phúc không?"
1. Vì trước giờ làm gì cũng không đạt được cảm giác hạnh phúc.
2. Vì có nhiều cách nghĩ về hạnh phúc, không biết cái nào là hạnh phúc.
3. Vì nghĩ rằng lòng ham muốn của con người không bao giờ hết, nên không thể có cảm giác hạnh phúc.
4. Vì nghĩ rằng lòng ham muốn của mỗi người khác nhau, nên cách nghĩ về hạnh phúc cũng khác nhau.
筆者はスタートの段階ではどうすればいいと述べているか。
1.
自分が幸福だと思えることをすればいい。
2.
他人と同じ程度の幸福を目指せばいい。
3.
社会的に評価されることをすればいい。
4.
「心の豊かな人」になることを目指せばいい。
Tác giả nói nên làm gì ở giai đoạn khởi đầu?
1. Làm những gì mà bản thân cảm thấy hạnh phúc.
2. Hướng tới mức độ hạnh phúc giống như người khác.
3. Làm những gì được xã hội đánh giá cao.
4. Hướng tới trở thành "người có tâm hồn phong phú".
1.
会社や家庭よりも、社会全体を優先する。
2.
一日二十四時間を、自分や家族のために大切に使う。
3.
常に楽しい生活を送り、その生き方を周りの人に認めてもらう。
4.
会社でも家庭でも楽しく過ごし、その姿が周りの人も楽しませる。
Hạnh phúc mà tác giả hướng tới là gì?
1. Ưu tiên xã hội hơn là công ty hay gia đình.
2. Dành 24 giờ mỗi ngày cho bản thân và gia đình.
3. Luôn sống vui vẻ và được người xung quanh công nhận.
4. Vui vẻ ở cả công ty và gia đình, và mang lại niềm vui cho người xung quanh.