JLPT N2 – Reading Exercise 59

#192

「おかあさん、もうすこ大人おとなになりな、おとうさんくらいに」 わたし背中せなかに6さい息子むすこった。自転車じてんしゃうしろにせ、幼稚園ようちえんかう途中とちゅうのことだった。ドキッとした。 たしかにわたし一日中いちにちじゅうひとどもにかたづけをしなさいとか、宿題しゅくだいをやってしまいなさいとかうるさい。あたまるとどもと同等どうとうになってけんかをしている。それにくらおっとはその様子ようすすこはなれてていてたまに口出くちだしするくらいで大人おとななのだ。 それにしても幼稚園児ようちえんじうことにしては立派りっぱぎる。「大人おとなって?」といてみた。 すると、うしろからわたしからだまわして「ほら、おかあさんこんなにちいさいよ。もっと大人おとなになっておとうさんくらいおおきくなって!」。な一んだからだおおきさのことだったんだ。 わたしは「大人おとなだってちいさいひとはいるよ。ほら、おばあちゃんなんて大人おとななのにおかあさんよりちいさいよ」とげかけた。 「あのね、おばあちゃんはぼくがまれるまえ大人おとなだったんだよ、でもね、いまはおばあちゃんになってちぢんだの」。(1)う一んなるほどはじめは「大人おとなになりな」なんてわれて反省はんせいし、つぎはおばあちゃんを大切たいせつにしなければとかんがえさせられた。 幼稚園ようちえんいた。息子むすこり、もんをくぐってく。(2)うしろがいつもより大人おとなびてえた。 (2001ねん11がつにち朝日新聞あさひしんぶん」による) なりな:なりなさい

Vocabulary (54)
Try It Out!
1
筆者は最初「大人になりな」という言葉をどのような意味だと思ったか。
1. 子どもに対して立派なことを言って、子どもに尊敬されるようにという意味
2. 子どものようにすぐ感情を表さないで、常に冷静でいるようにという意味
3. 子どもと同等の立場で、子どもの気持ちをよく理解するようにという意味
4. 自分の意見を持って、子どもの行動によく口出しするようにという意味
2
この子どもは「大人」ということをどのようにとらえているか。
1. 子どもを持っている人は大人で、子どもを持っていない人は大人ではない。
2. 孫を持っている人は大人で、孫を持っていない人は大人ではない。
3. 子どもは必ず大人になるが、中には体の小さい大人もいる。
4. 体が大きい人は大人で「体が小さい人は大人ではない。
3
(1)「う一んなるほど」とあるが、このとき筆者はどんなことを考えたか。
1. 年をとって小さくなったおばあちゃんを大事にしようと思った。
2. 息子も大人の会話ができるようになったと思った。
3. 自分ももっと大人になったほうがいいと思った。
4. 自分より夫の方が大人だと思った。
4
(2)「後ろ姿がいつもより大人びて見えた」とあるが、なぜそう見えたのか。
1. 子どもの言葉によって、いろいろ考えさせられたから
2. 子どもが一人で手を振りながら歩いて行ったから
3. 子どもなのに大人のようなロの聞き方をしたから
4. 子どもがおばあちゃんの心配をしているから