JLPT N2 – Reading Exercise 52

#185

わたし欲望よくぼうのかたまりです。そして、欲望よくぼう膨張ぼうちょうをつづける宇宙うちゅうのようにかぎりがありません。 「1」こんなはなし想像そうぞうしてみましょう。ある中学生ちゅうがくせいお父とうさんやお母かあさんから毎月まいつきもらうお小遣こづかいが、いままでの2000にせんえんから一気いっき20にじゅう万円まんえんになったらどうするでしょうか?かれ欲望よくぼうはとどまるところをらず、まえからほしいとおもっていたものを全部ぜんぶれようと、お小遣こづかいをって「2」みせんでいくちがいありません。 (中略ちゅうりゃく) しかし、地球上ちきゅうじょう子供こどもたちが全員ぜんいん20にじゅう万円まんえんもお小遣こづかいをもらって、きなものをうとしましょう。そんなことは可能かのうでしょうか。 欲望よくぼう無限むげんにあるのは、じつは大人おとなだっておなじです。大人おとないたいものをなんでもうとしたらどうでしょうか。でも、「3」そんなことはしようとおもってもできっこないはなしなのです。なぜかというと、地球上ちきゅうじょう存在そんざいする全工場ぜんこうじょうをフル稼働かどうしても、無限むげんにたくさんのものをつくることはできません。「4」人間にんげん技術ぎじゅつはまだそこまですすんではいません。 「5」みんながおおきないえみたくてもめないのは、土地とちりないというだけでなく、そんなことをすればたちまち、地球上ちきゅうじょう森林しんりんからされて、あっという地球ちきゅう丸裸まるはだかになってしまうからです。 つまり、もっと大事だいじなことは、わたしたちの欲望よくぼう無限むげんだけれど、工場こうじょう機械設備きかいせつび労働力ろうどうりょく森林しんりん農地のうち住宅地じゅうたくち石油せきゆなど、商品しょうひん生産せいさんするための経済資源けいざいしげん有限ゆうげんだということです。経済資源けいざいしげん有限ゆうげんだから、わたしたちの欲望よくぼうのうち、つまりほしいもののうち、一部分いちぶぶんしかはいらないのです。べつかたをすると、経済資源けいざいしげん有限ゆうげんなので生産せいさんされるものも有限ゆうげんということになります。だから、わたしたちのはいる「所得しょとく」も有限ゆうげん。すなわち、商品しょうひんうための予算よさん有限ゆうげんということになります。 「6」このこと説明せつめいするのに、経済学けいざいがくでは「稀少性きしょうせい」(Scarcity)という言葉ことば使つかいます。「稀少性きしょうせい」とは、人間にんげん欲望よくぼうをすべて満足まんぞくさせるだけの経済資源けいざいしげん地球上ちきゅうじょうには存在そんざいしないというきびしい現実げんじつしめすじつに簡潔かんけつ言葉ことばです。 稀少きしょう経済資源けいざいしげん使つかって、人間にんげん生活せいかつをどうやってゆたかにすることができるのか。このことこそ、経済学けいざいがくもっとおおきな目標もくひょうです。

Vocabulary (27)
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1
「1」こんな話とは、どんな内容の話か。
1. 人間の欲望は宇宙と同じだという話
2. 人間は欲望のかたまりであるという話
3. 小遣いをたくさんもらいすぎて困った話
4. 中学生の1ヵ月にもらう小遣いが増える話
2
「2」お店に飛んでいくとあるが、どうするつもりか。
1. 欲しいものを全部買うつもりだ。
2. お店のものを全部買うつもりだ。
3. 友だちより早く行くつもりだ。
4. 大人より早く行くつもりだ。
3
「3」そんなことはしようと思ってもできっこないとは、どのような意味か。
1. 20万円で欲しいものを何でも買うことができるわけがない。
2. 大人でもほしいものが何でも買えるということはあり得ない。
3. 大人は欲しいものを自由に買うお金をもらうわけにはいかない。
4. 子供ならできるが、大人は20万円では欲しいものが買えない。
4
「4」人間の技術はまだそこまで進んではいませんとあるが「そこまで」とは何を指しているか。
1. 人間の欲望をおさえること
2. ものを限りなく作り出すこと
3. ものを早く安く作り出すこと
4. 世界中の工場を一斉に動かすこと
5
「5」みんなが大きな家に住みたくても住めないとあるが、それはなぜか。
1. 土地が足りない上に、家を建てる労働者の数や機械設備も十分にはないから。
2. 土地が足りないというよりむしろ、家を建てる木そのものが不足しているから。
3. 土地が足りない上に、みんなが大きな家を建てたら、材料の木もなくなるから。
4. 土地が足りないというよりむしろ、農産物をつくる農地をつぶすことになるから。
6
「6」このこととは何か。
1. 経済資源が限られているから、物を作り出す工場や農地も不足しているということ
2. 経済資源が限られているから、欲しいものをすべて手に入れることはできないということ
3. 人間の欲望は限られているから、欲しいものをすべて手には入れようとは思わないということ
4. 人間の欲望は限られているから、ものを作り出す工場や農地も無限に必要ではないということ
7
筆者によると、経済学とはどのような学問か。
1. 有限な経済資源を無限にして人間の欲望を満足させる方法を考える学問
2. 人間の欲望が有限であることを「稀少性」という見方から考える学問
3. 限られた経済資源を有効に使って生活を豊かにする方法を考える学問
4. 限られた資源から何を優先させて生産したら経済的かを考える学問