JLPT N2 – Reading Exercise 19

#152

いい文章ぶんしょうはそれをもの充実じゅうじつした時間じかんつくす。知識ちしきひとよろこばせる必要ひつようはない。技巧ぎこうひとたのしませる必要ひつようはない。ひと利口りこうにし、こころよわせるよりも、それをんで本当ほんとうによかったとおもわせる文章ぶんしょうこう。 文章ぶんしょうにとってなによりも大事だいじなのは、すぐれた内容ないようとしてそのまま相手あいてつたわることである。したがって、いい文章ぶんしょうには「いい内容ないよう」と「いい表現ひょうげん」というふたつの側面そくめんがある。 どれほどった多彩たさい表現ひょうげんひろげられても、そのおくにある内容ないようがつまらなければ、文章ぶんしょう全体ぜんたいとして価値かちひくい。それでは、いい内容ないようはどのようにしてまれるのだろうか。すぐれた内容ないよう特定とくてい手段しゅだんのようなものはかんがえられない。小手先こてさき技術ぎじゅつといったものはやくたない。自己じこいててしなくひろがる世界せかいのどこをどうるか、それをどこまでよく、よくかんがえ、よくあじわうか、そういうほとんどその人間にんげんかたともえるものがそこにかかわっているからである。ゆたかな内容ないようふかきることをとおして自然しぜんるのだろう。 一方いっぽう、どれほどすぐれた思考しこう内容ないようあたまのなかにあったとしても、それが直接ちょくせつひとこころつことはできない。というよりも、言語げんごかたちをとることによって、それがすぐれた思考しこうであることがはじめて確認かくにんできるのである。その意味いみで、文章ぶんしょう表現ひょうげんなか発見はっけんであり、なか創造そうぞうである。いい内容ないようがいい表現ひょうげんかたち実現じつげんし、いい文章ぶんしょうになる。ぎゃくえば、すぐれたこtばの姿すがたをとおしてしか、すぐれた内容ないようというものの存在そんざいることはできないのである。

Vocabulary (57)
Try It Out!
1
筆者は、読者のためにどのような文章を書けばよいと考えているか。
1. 読んだ後に満足感が得られるもの。
2. 読んだ後に利口になった気分になるもの。
3. 時間をつくってでも読みたくなるもの。
4. 表現が凝っていて読みごたえがあるもの。
2
筆者によると、いい内容はどうすることで生まれるか。
1. さまざまな人間の生き方を知ることで。
2. 世界中のことを広く知ることで。
3. 人生を深く生きることで。
4. 深い知識を得ることで。
3
内容と表現の関係について、筆者はどのように述べているか。
1. いい表現であれば、どのような内容でも人の心を打つ。
2. いい表現の形をとることで、いい内容が人に伝わる。
3. いい表現を創造することで、さらにいい内容になる。
4. いい表現は、すぐれた内容であれば自然に生まれる。