混み合ったコンパの席で友人と話をしているとき、耳に入ってくるのは友人の声だけではない。周囲で交わされる会話や食器のぶつかる音があり、BGM さえ流れている。そんな喧噪(けんそう)の中でも、友人の話に耳を傾け、その内容を理解することが可能である。このような例をあげるまでもなく、私たちの耳には通常たくさんの情報が同時に入力されている。それでも私たちが混乱しないのは、注意を選択的に振り分ける選択的注意ができるからである。注意を向けられた情報は深い処理を受け、そこで初めて理解されることになる。
しかし処理されているのは注意を向けられた情報だけではない。友人の話に耳を傾けていても、BGM がピアノからギターに変われば、その音色の変化に気づくし、他の人から自分の名前を呼ばれたことにも気づく。この場合の情報処理は、意図的な制御を受けない自動的処理である。ここでは情報の物理的な特徴(声の質、口笛などの信号、名前など)が処理され、情報内容の深い理解は伴わない。これに対して、喧噪の中で友人の話が理解できるのは、注意的処理とよばれ、情報処理の意図的な制御を行っている。注意的処理では、記憶構造内の知識が検索され、情報の深い理解を可能にしているのである。
そんな喧噪の中でも、友人の話に耳を傾け、その内容を理解することが可能であるというのは、なぜか。
1.
友人の話に対して「自動的処理」をするから。
2.
周囲の声や音に対して「選択的注意」ができるから。
3.
友人の話以外の声や音は、耳に入ってこないから。
4.
友人の声と他の音は、質が異なっているから。
1.
選択的注意
2.
自動的処理
3.
物理的処理
4.
注意的処理
1.
喫茶店で本を読んでいるとき、店員が話しかけてきたことに気づくこと
2.
外国語の新聞を読んでいるとき、わからない言葉を辞書で調べること
3.
コンサートで流れている音楽に合わせて一緒に歌うこと
4.
友人と話しているとき、友人の話をメモすること