温泉の見回りとふしぎなおじいさん
銭湯は、みんなで入るお風呂のことです。山形県上山市の蔵王坊平温泉で、昔から伝わる話が「湯侍伝説」です。昔、蔵王坊平温泉に、赤倉又右衛門という人がいました。又右衛門の仕事は、温泉を安全に管理することでした。又右衛門は、仕事が終わると、夜中に1人でゆっくり温泉に入っていました。ある日から、年を取った男の人が夜中に温泉に来るようになりました。又右衛門は、男の人が怪しいと思いました。男の人が本当に人間かどうか調べるために、2人で「しっぺ弾き」をしました。この遊びは、じゃんけんをして、負けた人が相手の額を指でたたきます。何回もじゃんけんをして、又右衛門は全部勝ちました。男の人の額は、とても痛そうでした。又右衛門は「普通の人だ」と思いました。しかし、帰るときに大きな手が又右衛門をたたきました。男の人は「私は温泉の神です。あなたを元気にしようと思ったのに、ずるをしてはいけません」と言いました。それからも又右衛門は、まじめに仕事をしました。