鬼ばばあのふしぎな羽織
昔、ある村にとてもきれいな娘がいました。娘は、お金持ちの弥九郎と結婚することになっていました。ある日、娘は山に行って、村の人たちとはぐれてしまいました。雪が降る中、やっと家を見つけて入ると、そこは鬼婆の家でした。鬼婆は、170年生きています。こんなにきれいな娘は見たことがありませんでした。次の朝、鬼婆は娘に「命を助けてあげるから、この羽織を着なさい」と言いました。娘が羽織を着ると、すぐにしわが多いおばあさんになってしまいました。娘は泣きながら山を下りました。村の人たちは、娘のことを笑いました。弥九郎も「こんな汚いおばあさんは知らない」と言いました。娘は川に入って死のうとしました。そのとき、村でいちばん貧乏な八吉が来て、娘を自分の家に連れて行きました。そして、芋のおかゆを出しました。娘が食べると、羽織が脱げて、きれいな娘に戻りました。娘は優しい八吉と結婚しました。2人は一生懸命働いて、村でいちばんのお金持ちになりました。そして、赤ちゃんも生まれました。娘は、鬼婆からもらった羽織を宝物にして、幸せに暮らしました。