宝満山のタヌキと田んぼの田の坊
福岡県太宰府市の宝満山という山に、化けるのが上手なタヌキが住んでいました。タヌキは人をだましてばかりいました。ある日、タヌキがお地蔵さまに化けていると、緑色の服を着た小さな人が来ました。タヌキが「だれだ」と聞くと、「田の坊だ。化けるのが上手なタヌキと、どちらが上手か比べに来た」と言いました。タヌキは、いろいろなものに化けました。しかし、田の坊はびっくりしませんでした。田の坊は、タヌキを山の上に連れて行きました。山の下は、赤い花がたくさん咲いていました。田の坊は「私の技は、ゆっくり化ける。明日の朝、ここに来て、下を見なさい」と言いました。次の日、タヌキが山の上から下を見ると、花がなくなって、土の色になりました。3日後に見ると、水が入っていました。次の日に見ると、緑色になりました。タヌキは「田の坊は、地面を化けさせた。すごい技だ」と思って、山から逃げていきました。田の坊は、村に住んでいるおばあさんでした。おばあさんは、村の人たちが田んぼの仕事をするのを、タヌキに見せました。タヌキは、地面が変わっていくのを見て、田の坊の技だと思いました。