長者と そば団子の 森
山口県に伝わる昔話です。昔、秋吉という所は岩が多くて川もなく、村の人たちは岩の間から出る水を使っていました。村の人たちは米をつくることができなくて、そば団子を食べていました。村には、お金持ちの人がいました。村の人たちは、食べるそば以外はこの人に渡していました。お金持ちの家には、たくさんのそばが入った俵がありました。ある夏の日、村には3日3晩も雨が降り続きました。雨がやんだ後も村の人たちはお金持ちの家に行くことができませんでした。道がぬかるんでいたからです。お金持ちは、村の人たちに「早く水を運んで来なさい」と言いました。村の人たちは「道がぬかるんでいるので行くことができません」と言いました。お金持ちは、家の人にそばの俵をたくさん道に並べるように言いました。村の人たちがそばの俵の上を歩いて水を運ぶようにしたのです。次の日の朝、太陽が出て、そばの俵に光が当たると、俵はなくなってしまいました。俵は1つ1つがちょうに変わっていました。ちょうは空を飛んで、どこかへ行ってしまいました。村の人たちは「食べ物を大切にしなかったから、罰が当たったのだろう」と話しました。しばらくすると、お金持ちの家はなくなって、森になりました。村の人たちはこの森を「ちょうじゃがもり」と呼びました。