おふろに入るおじぞうさま
昔、三重県の赤目という所に、お地蔵さんがありました。その近くには、仲の良い夫婦が茶店を開いていました。ある日、知らない男が夫婦のところに来て、お風呂に入りました。次の日もまた次の日も、男は裸で来て、お風呂に入って嬉しそうに帰っていきました。あるとき、夫婦が着物と食事を用意して待っていると、道にあったお地蔵さんが動いてきて、お風呂に入りました。この話は村の中に広がりました。村の人たちはお地蔵さんの周りに集まって、動くのを待っていました。でも、お地蔵さんは動きませんでした。そして、もうお風呂に来ることはありませんでした。このあと、茶店にはいいことが続くようになりました。出て行った息子が、結婚した相手を連れて帰ってきました。そして、健康で、孫が生まれて、みんなで幸せに暮らすことができました。夫婦は、お地蔵さんのお蔭だと言って、大切にしました。