子守りをしたきつね
ある山の中に、とても貧しい村がありました。村の人たちは、食べ物がなくて、赤ちゃんを山に捨てなければなりませんでした。そして、赤ちゃんを捨てたことを隠すために「狐が赤ちゃんを連れて行った」と言いました。村の人たちは、狐のことを「子取り狐」と言いました。村に、子どもが4人の家がありました。お父さんとお母さんは一生懸命働いていましたが、お父さんは病気で亡くなりました。お母さんは、赤ちゃんを背中に背負って畑を作りました。畑ができたので、子どもたちをお風呂に入れようと思って、山で芝を刈り始めました。そのとき、背中の赤ちゃんが泣きました。お母さんは赤ちゃんを下ろしてあやしました。赤ちゃんが笑ったので、お母さんは安心して芝を刈り続けました。しかし、お母さんは赤ちゃんを山に置いたまま帰ってきてしまいました。お母さんは急いで山に行こうとしました。でも「赤ちゃんがいなければ、生活が楽になる」と考えてしまいました。それでも「狐に赤ちゃんを取られたくない」と走って山に行きました。しかし、赤ちゃんはいませんでした。お母さんが泣いていると、赤ちゃんの笑う声が聞こえました。お母さんが走って行くと、狐たちが赤ちゃんをあやしていました。お母さんは赤ちゃんを抱いて「狐でも赤ちゃんを育てているのに、私は何という母親だろう」と思いました。そして、もっと頑張って働きました。村の人たちも、山で畑を作るようになりました。そして、村は少しずつ豊かになりました。村の人たちは「子取り狐」を「子守り狐」と言うようになりました。