砂子多川の河童と五作爺さん
むかしむかし、日本中のいろいろな所に河童が住んでいました。山口県の勝山の沼にも河童が住んでいました。この河童は、畑を荒らしたり、村の人たちに相撲をしようと言って、勝つといろいろな物を取ったりしました。ある日、村の男の人が川で牛を洗っていると、河童が牛のしっぽをひもで結びました。男の人は牛を落ち着かせて、川のそばでお酒を飲みました。河童はお酒に興味を持ちました。男の人が見ていないときに、ひょうたんの中のお酒を飲みました。男の人は、河童の頭の皿の水を出して、ひもで結びました。河童は、暑い日に1日中、騒いでいましたが、夕方になると元気がなくなりました。男の人は、夜遅く、河童のひもを切ってやりました。そして、もう人間に悪いことをしないことと、田んぼの草を取る手伝いをすることを約束させました。次の日、河童は歌を歌いながら田んぼの草を取りました。そして、男の人と一緒に川に行くと「川の中で一番大きな石を川のそばに置きます。この石が砂になるまで、人間に悪いことをしません」と言って、沼に帰って行きました。それから、村の人たちは河童の話をしなくなりました。河童たちがどこに行ったのか、誰も知りません。