スウェーデンのアパレル大手ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)が、自社のモデルのデジタルクローンを年内にも作り出す計画を立てていることが分かった。人工知能(AI)の潜在力とそれが労働者に与える影響の両方に取り組む業界にとって、多くの疑問が浮上する状況となっている。衣料品小売り世界最大手の一つであるH&MはCNNの取材に答え、自社モデルの「デジタルツインズ(双子)」30体を年内に作り出す計画を明らかにした。ただこれらの分身をどのように活用するのかはまだ「模索中」だとした。モデル事務所やモデル本人とは連携しており、当該の構想を「責任あるやり方で」進める意向だとも付け加えた。同社によればモデルらは自分たちのデジタルツインの権利を保有し、あらゆるブランドと仕事ができるようになる見込み。いかなる広告活動の場合とも同様に、その機会ごとに対価が支払われる仕組みだという。自分たちの分身への対価をモデルらが受け取るとしたこの約束について、英国におけるパフォーマンスアーツとエンターテインメント業界の労働組合、エクイティーの事務局長を務めるポール・フレミング氏は歓迎する姿勢を示す。それでもCNNの取材に対する声明の中で同氏は、そうした約束について「裏付けが必要」と指摘。AI保護に関する組合との合意を幅広く適用する他、法律によって労働者の権利を守ることも求められるとした。「人工知能分野の『技術革新』競争が、利益拡大を目的とした底辺への競争になってはならない」「人工知能も人間の芸術的才能と労働無しには成り立たないのだから、今後も人間こそが創造的努力の中心であるべきだ」(フレミング氏)H&Mの発表に対しては、既にファッション業界内から反発の声が噴出している。この業界では現段階でさえ、多くの労働者のキャリアが不安定な状況にある。