世界せかいの大都市だいとしでネズミが増加ぞうか、最大さいだいの原因げんいんは温暖化おんだんか　米研究べいけんきゅう

世界中せかいじゅうの大都市だいとしでネズミの数かずが増ふえているという研究結果けんきゅうけっかがこのほど発表はっぴょうされた。研究けんきゅうチームは主おもな原因げんいんとして、気候変動きこうへんどうの影響えいきょうを指摘してきしている。

米べいリッチモンド大学だいがくのジョナサン・リチャードソン教授きょうじゅ（生物学せいぶつがく）のチームは、ネズミに関かんして長期的ちょうきてきな統計とうけいがある米国内べいこくないの１３都市としに加くわえ、トロント（カナダ）、東京とうきょう、アムステルダム（オランダ）の３都市としについて、それぞれネズミの目撃もくげき、捕獲ほかく、点検報告てんけんほうこくをもとに、平均へいきん１２年ねんにわたる集計結果しゅうけいけっかをまとめた。

この結果けっかは１月がつ３１日にちの科学誌かがくしサイエンス・アドバンシスに発表はっぴょうされた。それによると、調査対象ちょうさたいしょうとした１６都市としのうち１１都市としで、ネズミの数かずが大幅おおはばな増ふえる傾向けいこうにあることが分わかった。特とくに増加ぞうかが顕著けんちょだったのは米首都べいしゅとワシントン、サンフランシスコ、トロント、ニューヨーク、アムステルダムの各都市かくとし。一方いっぽう、ネズミが減へっていたのは米べいニューオーリンズ（ルイジアナ州しゅう）と米べいルイビル（ケンタッキー州しゅう）、東京とうきょうの３都市としのみだった。

ネズミが増ふえた原因げんいんとしては、人口じんこうの密集みっしゅうや都市部としぶの植物しょくぶつの少すくなさも一因いちいんとしているが、最大さいだいの原因げんいんとして平均気温へいきんきおんの上昇じょうしょうを挙あげている。

小型哺乳類こがたほにゅうるいのネズミは寒さむければ活動かつどうが制限せいげんされる。しかし特とくに冬場ふゆばの気温きおんが上あがったことで、外そとに出でて餌えさをあさる期間きかんが長ながくなり、年間ねんかんを通つうじた繁殖期間はんしょくきかんも長ながくなった。

温暖化おんだんかの影響えいきょうで生育期せいいくきも長ながくなってネズミの餌えさが増ふえ、ネズミが隠かくれられる植生しょくせいも増ふえた。「温暖化おんだんかに伴ともなって食たべ物ものやごみのにおいはさらに遠とおくまで届とどく」とネズミに詳くわしい専門家せんもんかのマイケル・パーソンズ氏し（今回こんかいの研究けんきゅうにはかかわっていない）は解説かいせつする。

ネズミの繁殖はんしょくは都市としに大おおきな問題もんだいを引ひき起おこす。ネズミはインフラを損傷そんしょうさせ、食中毒しょくちゅうどくの原因げんいんとなり、配線はいせんをかじって火災かさいを発生はっせいさせることもある。今回こんかいの研究けんきゅうでは、米国べいこくのネズミによる損害額そんがいがくを年間ねんかん２７０億おくドル（約やく４兆円ちょうえん）と推計すいけいしている。