親子星の物語
ある村の山の中に、子どもたちとお母さんが住んでいました。お父さんが死んだあと、お母さんは朝早くから夜遅くまで働いていました。ある日、お母さんは村の人の結婚式の手伝いで、おもちをたくさん作りました。村の人は、お礼におもちをくれました。お母さんは、子どもたちが喜ぶと思って、急いで家に帰りました。すると、鬼が出てきました。お母さんは「おもちをあげます。私には子どもたちがいますから、命だけは助けてください」と言いました。しかし鬼は「おもちはいらない。人間を食べるのが好きだ」と言いました。しばらくして、空に星が1つ増えました。家では子どもたちがお母さんを待っていました。外から「お母さんだよ。開けておくれ」と声がしました。子どもたちは戸を開けました。お母さんは、子どもたちにおもちを食べさせました。夜になって、子どもたちは寝ました。上の子は、お母さんの顔を見ました。口に大きな牙がありました。鬼がお母さんに化けていたのです。子どもたちは外に逃げました。そして、柿の木に登って隠れました。鬼は「お母さんはもう食べてしまった」と言いました。子どもたちは「お母さん」と大きな声で泣きました。そのとき、空から鎖が下りてきました。子どもたちは鎖に{つか}まりました。鎖はゆっくり空に登っていきました。鬼も鎖を{つか}みました。3人の子どもと鬼が一緒に登っていきました。鬼は子どもたちに手を伸ばしました。すると、鎖が切れて、鬼は落ちてしまいました。子どもたちは、空に着きました。そこには、お父さんとお母さんがいました。3人の子どもとお父さんとお母さんは、5つの星になりました。