榎木のお寺といろいろな名前
昔、京都に、えのきという木があるお寺がありました。木はとても大きくて、遠くからよく見えました。お寺の坊さんは、りょうかくそうじょうという立派な人でした。でも、街の人は、坊さんの名前を呼ばないで、「えのきのそうじょう」と呼んでいました。坊さんは、木のほうが自分より大切なものだと思って、怒りました。そして、木を切ってしまいました。木がなくなると、切ったあとに大きな切り株ができました。人は、切り株の上でお茶を飲んだり、囲碁をしたりしました。人は、坊さんのことを「切り株のそうじょう」と呼ぶようになりました。坊さんは、また怒って、切り株を掘って取りました。掘ったあとに水がたまって、池になりました。人は、坊さんのことを「池のそうじょう」と呼びました。坊さんは、また怒って、池を埋めました。そして、「坊さんの名前はりょうかくです」と書いた立て札を立てました。人は、坊さんのことを「立て札のそうじょう」と呼びました。坊さんは、木を切ったことを、後悔しました。