夫に裏切られた妻の執拗な復讐
正太郎という名の女癖の悪い男がいた。正太郎は磯良(いそら)という娘と結婚するが、袖という愛人をつくり妻のところには寄りつかなくなる。さらに正太郎は磯良の優しい心につけ入りお金を持ち逃げる始末。騙された{ショック}から磯良は病に倒れ、死んでしまう。一方、正太郎は愛人の袖とよその土地に住みついていた。しかし袖もまた物の怪が憑いたかのように発狂し、亡くなってしまうのだった。悲しみに明け暮れる正太郎。あるとき墓参りで出会った若い娘から「主人を亡くした未亡人に頼まれて墓参りをしている」と聞いた正太郎は、娘の案内で未亡人宅へ向かう。正太郎が未亡人に話しかけると、振り返った女性は磯良だった。「どれほど辛かったか思い知らせてやろう」という磯良の姿に、正太郎は気絶してしまう。正太郎が陰陽師に助けを求めると陰陽師は今から42日間物忌みをし絶対に外に出てはいけないと告げ、正太郎の体に呪文を書いた。夜になると家の外では護符のために侵入できない怨霊が恐ろしい声で叫んでいる。さて、やっと夜が明けたと安堵し戸を開けると、夜明けと思ったのは実は怨霊の幻術だった。正太郎は青ざめる。翌日。軒先には男の髪の毛だけがぶら下がり、大量の血が入り口に流れていた。